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three images [2016年1月3-4日] [3つの「風景」]

・小布施の北斎
日曜美術館の特番で井浦さんが訪ねていた岩松院の天井画「大鳳凰図」(八方睨みの鳳凰)、一度きりの小布施一人旅の際に私も見上げた。軽く雪の舞う、心のひきしまるような駅からの20分ほどの道を、胸を高鳴らせながら歩いた。不思議に絵のディテールそのものよりも、その道程を覚えている。

ただし細部はおぼろげでも、絵の「力」は別だ。あの天井には確かに鳳凰が生きており、堂内の空間は静けさと鳳凰の気に満たされていた。私を見下ろすと同時に、見上げる視線を誇らしげに受け止めていたあの鳳凰の存在感は今も確かに記憶の中に息衝いている。

・青の街灯

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白色や橙などの色合いの街灯を見慣れているせいか、目をひかれた青の街灯。青い光がぽつぽつとぼんやりと並ぶ小道、1分ほどで歩き終えてしまうこの道は、束の間の異空間だった。

・夜のクレーン

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明りの少ない場所にそびえたつ巨大な物体には、怪異めいた力があるように思う。光っているものはあまり怖くない。夜の暗さの中で一段と暗く、ひっそりと、のっそりと佇むようなものが良い。おそろしいと同時に圧倒される。

建物にも夜にも特に感覚を刺激されることのなかった大学時代に、路地を歩いていて突然現れた古びた大きな洋風建築に、震えるような畏怖を感じたことがある。後で、京大の人文研だと知った(現在は新しい本館ができたため、分館となっている)。それから夜の巨大な物体を意識するようになった。他のものについてはまた機会があれば書きたいが、クレーンもまた夜に出会えば見つめてしまうものの一つだ。昼間のように機能を果たすこともなく動きを止めてしまうため、夜のクレーンは、静かに眠る巨獣のようだ。昼と夜がいかに違う世界なのかを実感させてくれる存在でもあると思う。

three images [2016年1月2日] [3つの「風景」]

・アレキサンドライト(宝石)
太陽光の下では青緑色に、蛍光灯の光では赤色に見えるという。

・久隅守景「納涼図屏風」
http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A11878
父が『清貧の思想』がなかなか良いと勧めてくれた。ベストセラーとは知らなかったらしく、最近読んだようだ。私も未読だったが、目次に惹かれたのでいずれ手に取ってみようと思った。もう一つ惹かれた理由は、かねてより知っていたこの図の掲載。現代に生きる私たちにとっては逆に得難いゆとりがこの絵にはある。東京・サントリーでの久隅守景展、見てみたかったな。

・富士山頂でのご来光(という想像)
幼い人との即興の「ごっこ遊び」にて、本人の提案によりご来光を見に行く展開に。わずかな時間だけ差し込んできた特別な光を全身に浴び、人々が今年はいいことがありますようにと言い合う様子を見て、ひねくれていた登場人物(生物)も素直な心持になるのであった。赤い光に包まれる心地で人形を操り物語を紡いだ。

three images [2016年1月1日] [3つの「風景」]

・ノルシュテイン「霧の中のハリネズミ」の夜の水面
(フクロウが覗き込む水たまり、ヨージックを運んでいく水の流れ)
・ウディ・アレン「マンハッタン」オープニング
https://www.youtube.com/watch?v=uyaj2P-dSi8
・アッシジの聖堂壁画群
(BS朝日「須賀敦子 静かなる魂の旅」第2話 アッシジのほとりに より)

アマルコルド [映画]

綿毛、霧、雪、夜

それらのヴェールに包まれた光景の中で、まるでおぼろげな夢の中の世界の出来事のように、あたたかく、切なさを湛えた少年期の回想が繰り広げられる。

フェリーニの映画は玩具箱的な趣を感じさせてくれることが多いけれど、「アマルコルド」はそこに繊細でノスタルジックな空気が加わる、やさしい肌触りの映画だった。もちろんフェリーニらしいえぐみは残しつつ。

少年が霧の中で角の生えた牛に出会う風景、その直前の老人が霧に包まれて穏やかに死を思う描写、そして巨大客船レックス号が現れるシーンの光と闇のコントラスト、雪の中に舞い降りるクジャクが特に印象的。

心情的には、少年たちが憧れていたセクシーなグラディスカが最後に幸せな結婚をしたことがとても嬉しかった。

タグ:映画
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バラガン/デルヴォー [アート]

2013年の元日はバラガン邸の写真で明けた。その後写真集を購入。月半ばとなった今も日常の何気ない瞬間に頭の片隅にバラガンピンクとメキシコの陽光が満ちてくる。

もう一つ、年明けから気が付けば想いを馳せているのが、デルヴォーの描いた夜。ひんやりと青に包まれた、静まり返る夜。

共通するのは静けさかな。心がストンと吸い込まれるような感覚。無に近いその場所に時を忘れて身を浸してみたいものです。
タグ:建築 絵画
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ブログを書くのは約5年ぶり。日常の感覚にまつわる記録帖として、細々と書いていきます。
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